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第4話 ⑪

 あれから1週間。樹には完全に無視されていた。姿も圭介の前ではほとんど消していた。気配で樹がいるのは分かるのに見えない。  たまに姿を現した時に圭介が話しかけても無視か、必要最低限のことしか話さなかった。  樹に迫られることもなくなった。どうやって生気を保っているのか心配になった。このままだと、生気がなくなって消えてしまうのではないか。樹がいなくなってしまうのではないか。  そう思うと、なんとも言えない気持ちが圭介の心を揺すぶった。 『寂しくなった?』  そう圭介に尋ねた樹の言葉を思い出す。  そうか。自分は、樹がいなくなってしまったら寂しいのだ。そう自覚した。自覚したところで、樹との関係を元通りにすることは必要あるのだろうか。だって。どう考えても圭介には落ち度はないのだし。 「喧嘩したの?」  居酒屋のバイトが終わった帰り道。なんとなくこのまま帰るのが嫌で、帰宅途中の公園に寄って缶コーヒーを飲みながらベンチに座っていたのだが。そこに亜紀が現れた。 「喧嘩って言うか……。樹が勝手に怒ってんだけど……」  そこで、亜紀に先日起きた樹との言い合いについて話をした。

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