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第4話 ⑮★

「ここから離れたのか?」 「まあ。このマンション内ぐらいなら余裕だから」 「……そうか」  答えながら、樹の表情を見る。 「貰う奴によって、お前の気性も変わるのか?」 「まあな。多少は影響受ける」  例えば。そう続けて樹がベッドから立ち上がった。 「四六時中、誰かとヤりたいとか、誰かを犯したいとか思っている奴に貰うと、自分もそういう気分になってくる」 「……え?」  なんとなく、嫌な予感がして思わず後ずさった。そんな圭介をじっと見る樹の目は完全にいつもの樹のそれとは違っていた。 「樹……?」  やばい。何かがやばい。とりあえずここから逃げ出さなくては。そう思い、振り返って玄関に向かおうかと思ったが。その前に、有体化した樹の手ががっしりと圭介の腕を握りしめた。 「いっ……」  痛いぐらいに握られて、思わず声が出る。そのままぐいっと強い力で引っ張られてベッドへと放り投げられた。 「ちょっ……っつ」  抗議する間もなく、全身が瞬時に金縛り状態となった。全く身動きも取れないし、声も出せない。そんな圭介の姿を上から樹がじっと見下ろしていた。目が合う。ニヤッと樹が笑った。  いつもの樹じゃない。全く別人に見えた。

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