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第4話 ⑰★
目を開けて、キッと樹を睨んだ。樹はそんな圭介を感情の読めない表情でじっと見ていた。
「……お前が悪い」
「……え?」
「なんで……分からねぇんだよ」
「たつき……? ちょっ……」
突然、樹が両手を下にずらして、圭介のジーンズと下着を剥ぎ取った。
「たつきっ」
圭介の呼ぶ声など聞こえていないようだった。ぐっと圭介の両脚を両手で掴むと上に持ち上げた。圭介の後ろが露わになる。
「やめろっ」
ふっと、樹が全裸に変わった。
「挿れるわ」
「え?? ちょっ……嫌だってっ」
圭介の言葉を全く無視して、樹がぐっと腰を圭介の尻に近づけてきた。
「嫌だっ! やめっ、あっ」
ぐぐっと、何か異物が圭介の中に入ってきた感覚がした。痛くはない。ただ、何かが中にいるような奇妙な感覚で。
「うわっ、ちょっ……ああっ……」
樹が腰を動かし始めたと同時に、中の何かが圭介の中で擦れるように動くのを感じて思わず声が出る。でもそれは、快感によるものではなくて。
気持ち悪い。
異物が動く感覚に圭介の体が悪寒に震えた。そんな圭介の気持ちを知ってか知らずか、樹はただ黙々と腰を動かし続けた。
やだ。
こんなのは嫌だ。
いくら体だけの関係だったとしても。
こんな犯されるようなセックスは嫌だ。
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