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第5話 ⑧

「……なんか知ってるの?」 「知りたい?」 「……どうだろう……」 「圭介くんが知りたいなら話す。それを信じるも信じないも圭介くん次第って感じ?」 「…………」  由奈がいい子じゃないって。どういうことだろう。自分からは由奈に対して得に疑心暗鬼になるようなことは何もない。 「俺は何にも感じたことないけど」 「……それは、圭介くんが鈍感なのもあるけど、その彼女自身に興味がないからだよ」 「興味ないって……。そんなこと……」 「ないって言い切れる?」 「…………」  亜紀が幽霊らしくない人間臭い溜息をはあっ、とついた。 「圭介くんは、自分の気持ちにも鈍感だよね。だけどさすがにもう薄々気づいてるんでしょ?」 「……何を?」 「圭介くんの本当の気持ち」 「…………」 「分かるよ。色々障害あるもんね。幽霊と恋愛だなんてあり得ないし。普通」  でも、いいんじゃない?別に。と亜紀がダイエットしててもちょっとぐらい食べてもいいんじゃない?というような軽い口調で続けた。

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