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第5話 ⑱

 そう。自分は。樹の傍にいたい。我が儘で、高慢ちきで、口が悪くて偉そうだけど。でも。  温かい料理を作ってくれて。圭介に優しく笑いかけてくれて。なんやかんやで圭介を大事にしてくれる。あの男の傍にいたい。樹が自分を好きでいてくれるなら。自分もそれに応えたい。  ただ。樹に会いたい。  圭介は弾けるように立ち上がった。バックパックを引っ張り出してきて、次々に自分の荷物を入れていく。 「圭介くん?」 「俺、帰る」  岡田へと叫ぶように伝えるとバックパックを持って立ち上がった。そのままの勢いで玄関まで急ぐと靴を履いた。扉を開けて外に出る。施錠して、合鍵を郵便受けへと入れた。  逸る気持ちを抑えながら走り出す。 「よかった」  そんな圭介の様子を頭上から見ながら、岡田が笑顔で呟いた。

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