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第5話 ㉒★
ふと、何かが頬に触れた気がしてはっと目を開ける。
目の前に樹の瞳があった。樹の指先がそっと圭介の頬を撫でていた。視線が絡み合う。その瞬間に、樹の唇の感触が圭介の唇に広がった。
再び目を閉じて、キスに集中した。伝われ。自分のありったけの生気を樹へと流すイメージでキスを続ける。
動きのなかった樹の唇が少しずつ動き始めた。圭介の唇を軽く押し返してくる。何度も何度も、押し合った。するっと、圭介から舌を入れて、樹の舌へと絡ませた。
「ん……」
声が漏れ、熱が上がる。圭介の体が熱くなってくるにつれ、樹の体が生気に満たされていくのを感じた。
「んんっ」
突然、がっ、と樹の手に圭介の後頭部を掴まれ、ぐっとキスが深くなった。樹の舌が自由に動く。懐かしい、樹の舌の感触。
一通り舌を絡め合わせてから、ゆっくりとどちらからともなく唇を離した。目の前で樹と見つめ合う。ニヤッと懐かしい笑顔で樹が笑った。
「……エロいキス」
「……俺が感じないと生気の質が落ちるんだろ」
「まあ、そうだけど」
そこで沈黙が生まれた。じっと樹が圭介を見つめている。
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