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第5話 ㉗★
「ちょっ……怖いんだけどっ……」
振り返ってそう訴える。すると、樹がぐっと体を近づけてきて軽くキスされた。
「大丈夫。優しくするから」
「…………」
「指、入れるぞ」
「……ん」
ぐっと、圭介の中に樹の中指が入ってきた。
入れる前、樹が部屋の中をごそごそして何か瓶のような物を手にして持ってきたのだが、それはどうやらローションだったらしい。前の住人の持ち物をどこかに隠し持っていたらしかった。
そのローションを掌にたっぷりと落とした樹の指が入ってきた直後は、異物感と緊張で少し痛みを感じた。
「圭介。力抜いて」
そう優しく言って、樹が慎重に、ゆっくりと指を動かした。繰り返し指を動かされる内に圭介の体から緊張が消えていった。
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