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最終話 ①

「あ」  ひらひらと、粉雪が圭介の目の前を落ちていく。見上げると、我先にと雪たちが混じり合いながら次々と空から舞い降りてきた。今日はどうりで朝から冷えたはずだ。  大学生になり二度目の冬が来た。枯れ木が寒そうに佇む姿は去年の今頃、由奈と大学の庭で待ち合わせしていたことを思い出させた。早いもので。あの時からもう1年近く経っているのだな、と自覚する。  着ていたダウンジャケットの襟を両手で引き寄せると、ジッパーを上げた。携帯で時刻を確認する。次の講義までにはまだ余裕があった。  図書館で課題のレポート作成でもしようかと、向きを変えて歩き出した。 「圭介」  後ろから声をかけられて振り向くと、荻が立っていた。 「おお」 「圭介、次、空きだろ? 一服しねえ?」 「いいよ」  課題のレポートは急ぎでもなかったので、すぐに荻の誘いに乗った。最近は荻とも付き合いが薄くなっていたので、久しぶりに話したい気持ちもあった。 「さみーな」 「そうだな。先月まで暖冬だとか言われてたのにな」  たわいもない会話をしながら、食堂へと向かう。『一服』というのは、結局のところコーヒーでも飲んでゆっくりしようということなのだ。

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