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最終話 ②

 自動販売機でそれぞれ飲み物を購入し、食堂の一角にあるソファ席に着いた。圭介はブラックのホットコーヒーを選び、荻は温かいココアを選んでいた。 「荻って、結構飲む物可愛いよな」 「おい、お前、ココアを馬鹿にすんなよ。ポリフェノールの塊だっつーの」 「荻がそんな健康に気ぃ使う奴だったとはな」 「当たり前だろ。健康第一。死んだら何もかもおしまいじゃん」 「……そうだな」  軽く微笑んで荻の言葉に答えた。そんな圭介を荻がじっと見返してきた。 「……何?」 「お前……大丈夫か?」 「え?」 「なんちゅーか……。うまく言えないんだけど……あれから……その、由奈ちゃんと別れてから元気ないっていうか……」 「俺?」 「ん……」 「そうか? そんな自覚なかったけどな」 「いや、全然変わったぞ、お前」 「……そう?」 「そうだって。付き合い悪くなったし。バイトも辞めたんだろ? 生活費どうしてんの? 親戚の援助があるって言ってたけど、やっていけるだけの援助くれてんのか?」 「まあ……世話好きの知り合いが色々助けてくれてるから。その点は大丈夫」 「……それって、変な奴じゃないよな?」 「変な奴?」 「その……ヤクザとか……」 「は? ヤクザ?」  そこで、荻が気まずそうな顔をして1泊置いた。言いにくそうな口調で再び口を開く。 「いや……だってさ……圭介、すげぇ、体調悪そうだし」 「……そうか?」 「そうだよ。どんどん痩せてってるしさ。顔色も悪い時多いし。なんかその……クスリとかさ、変な想像しちゃうじゃん?」 「ああ……そういうことか」  そこでようやく荻の言わんとしていることを理解した。つまり、荻は最近の圭介の変化を、裏の道にでも通じる誰かとの付き合いでもできて、その延長線上で薬物などに手を染めているせいではないかと疑っているのだ。 「そんなわけないじゃん。ただちょっと……体調が悪いだけだから」 「それって、大丈夫なのか?」 「うん、大丈夫。別に深刻なことじゃないから。でも、あんまり食欲沸かないからちょっと痩せてきてるけど。ほんとに心配要らないから」 「本当に?」 「本当に」 「本当の本当に?」 「本当の本当に」 「本当の本当の本当『しつこいって』」  そこで2人で顔を見合わせてふふっと笑った。

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