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最終話 ④

「いや、俺、由奈ちゃんから、由奈ちゃんが圭介を振ったって聞いたけど……」 「由奈がそう言ったんだ?」 「え? まあ……圭介に浮気されたって……」 「そうか……」  そこで、荻との間に変な空気が流れた。荻も何と言葉を続けていいか分からない様子だった。短い沈黙の後、荻が遠慮気味に尋ねてきた。 「……その……てことは……由奈ちゃんが嘘ついてるってこと?」 「まあ……半分は。浮気したつもりはないけど、別に好きな人はできたし」 「……そうなのか?」 「ん……俺が悪者になっても気にしてないから。由奈には好きに言わせてあげればいいよ」 「だけど……」 「俺さ、その好きになった奴と今一緒にいて、幸せなんだよ。だから、本当にいいんだ」 「圭介……」 「心配してくれてありがとな」  そう荻に笑いかけた。荻はそれ以上そのことについては何も言わなかった。  ふと、樹の顔が頭に浮かぶ。  どうしようもなく、樹に会いたくなった。

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