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最終話 ⑦

「圭介、晩飯何食いたい?」 「いいよ、作らなくて。俺、自分でやるから」 「いいって。せっかく早く帰ってきたんだから、のんびりしたらいいじゃん」 「でも……。樹、大変だろ? 最近、毎日作ってもらってるし。朝も晩も」 「お前が留守中にしっかり力セーブしてるから」  ゆっくり休め。そう言って、頭を優しく撫でられる。 「うん……分かった」  こういう関係になってから。樹は随分優しくなったな、と思う。出会った時は、どうしようもなく憎たらしい性格だったのに。  夕飯まで樹の腕の中で一緒にDVDを見た。宅配で樹が勝手に借りたDVDだったのだが、カップル同士で見るにはイマイチなゾンビの映画だった(その中には、岡田がリクエストしたAV物も混じっていた)。まあ、圭介は樹と過ごせるのなら何でもいいのだけれど。  ぼんやりと映画を見ていたら、眠気を感じてそのままうたた寝してしまったらしい。 「圭介」  名前を呼ばれて、目が覚めた。 「あれ? 俺、寝てた?」 「よだれ出てたぞ」 「え?? マジで??」  慌てて口元を擦る。ふっと樹が笑った。 「飯、できてるから」 「え? あ、ほんとだ」  テーブルの上にすでに食事が並べられていた。豚肉の生姜焼きにご飯に味噌汁。それにほうれん草のおひたしとキャベツと人参だけの簡単なサラダ。シンプルだけれど、とてもおいしそうだった。 「冷めないうちに食え」 「うん……ありがとう」  いただきます、と挨拶してから箸を取る。まず味噌汁を一口啜った。途端に温かい液体が体の隅々まで行き渡る。 「うまい」 「そうか」  嬉しそうに樹が笑った。

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