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最終話 ⑫

 そろそろ限界だな、とは思っている。  2人の関係がこのまま永遠に続くことはないと分かっている。  1人は老いていき、1人は実体のないまま漂うことになる。例えば、それでも一緒にいたとして、圭介の命が終わる時。一体何が起こるのかは樹ですら予想できなかった。  何か圭介に未練が残れば、幽体としてこの世に留まるだろうが。しかし、その姿はおそらく老いた圭介のままだろう。樹は老いた圭介と一緒にいることに抵抗はない。圭介は圭介だからだ。しかし、圭介がそれをどう思っているかはまた別で。  それに。そこにはまた別の問題が生まれる。幽霊同士の恋愛の先に幸福はない。昔、圭介にも説明してやったので、圭介も理解しているだろうが。幽霊同士が交われば、その度にお互いの生気を取り合うことになり、やがて2人とも消えていくだろう。成仏ではなく完全に『無』となる。それは絶対に避けたい。  この先、圭介とずっと一緒にいるためには。  方法は1つしかない。  ただし、これは賭けになる。  それに。その方法を取ることが果たして圭介にとって最善なのか、自信がない。

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