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最終話 ㉘
圭介は最後に樹が見た時よりも更に痩せ細っていた。病人並みの細さだった。目を瞑って、微動だにせずベッドへと横になっていた。
「圭介……?」
「大丈夫です。圭介くん、さっきスープを少し飲んでくれて、今は眠っているだけですから」
ゆっくりと圭介へ近づいた。どくどくと打つはずのない鼓動の音が聞こえてくる気がした。
岡田がさっとどいてくれたそこへとしゃがみ込む。間近で見る圭介の顔は青白く、もう生気がほとんど残っていないように見えた。
「ここ数日で急激に衰えてしまったんです。今はもうほとんど動くこともできません」
「…………」
「でも、樹くんが来てくれたから。きっと圭介くん、喜びます」
「怒ってなかったのか……?」
「圭介くんがですか?」
「勝手に消えた俺に腹立てるのが普通だろ」
岡田は少し黙った後、ふるふると頭を振った。
「僕の覚えている限り、圭介くんは一度も樹くんのことを責めませんでしたよ」
「…………」
「ただ、会いたいって。もう一度、話したいって。圭介くん自身も後悔していたようです」
「何を……?」
「樹くんとちゃんと向かい合って、これからのことを話さなかったことを」
「…………」
じっと圭介の寝顔を見つめる。相手を想うがあまり、大事なことを先延ばしにしてお互い向き合ってこなかった。
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