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エピローグ ①

 はあはあと息が苦しい。でも走らなきゃ。ママに怒られちゃう。  お家で『みんな』と遊ぼうと思ったのに。あっちに楽しいところがあるよって言われて、ちょっとだけならいいやって、一緒にお外に出ちゃったんだ。  こっちこっちって引っ張られて、着いたところは草がいっぱい生えているおっきい広場。そこで、鬼ごっこや、缶蹴りしてとっても楽しかったけど。  気づいたらお空が赤くなっていた。  帰りたい、って言ったら、『みんな』は悲しそうな顔で僕を見た。 『帰っちゃうの?』 『うん。ママが心配するから』 『圭ちゃんはいいな』 『なんで?』 『お家があるし、ママもパパもいるし』 『みんなにはいないの?』 『……うん』 『そうなの……』  いつも僕のところへ遊びにきてくれる『みんな』は幼稚園のお友達とはどこか違った。腕がない子もいたし、足が変な方向に曲がっている子もいた。体中に怪我した時にできる青い痣みたいなのがいっぱいある子もいたし、髪の毛がなくて病院でよく見る服を着ている子もいた。  最初は怖かったけど、『みんな』とっても面白くて楽しい子たちばかりだから、幼稚園からか帰ってきて誘わればいつも一緒に遊んでるんだ。  でも、幼稚園のお友達と遊ぶ時には、『みんな』は遊びにきてくれなかった。一緒に遊びたかったのに。 『ねえ、圭ちゃん。また遊んでくれる?』 『うん』 『じゃあ、またね』 『うん、またね』  『みんな』に大きく手を振って、広場を飛び出す。少し走ってから足が止まった。

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