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エピローグ ③
「お姉ちゃんは、どこに住んでるの?」
「私はねぇ、いろんなところを旅してるの。だからお家はないんだ」
「旅ってなに?」
「旅行って分かる? 遠くにお出かけすること」
「うん、分かるよ。この前のお休みに、ママとパパとおんせんに行ったんだ!」
「そう。旅ってね、その旅行をずっと続けてる感じかな」
「いいなぁ。いっぱい色んなところに行けるんだね」
「そうだね」
優しくお姉ちゃんが笑った。
「圭介くん、幼稚園楽しい?」
「うん!」
「お友達たくさんいるの?」
「いるよ。幼稚園にもお外にもいる」
「そっか……。圭介くんは昔も友達たくさんいたもんね」
「え?」
「ううん。ねえ、好きな子はいないの?」
「いるよ」
「え? 誰?」
「お姉ちゃんの知らない子だよ」
「そうなの? 幼稚園の子?」
「違うよ。夢の中の子」
「夢?」
「うん。夢に出てくるの。かっこいいお兄ちゃんだよ」
「……そう。そのお兄ちゃんが好きなの?」
「うん。いっつもいいこいいこしてくれるんだよ。だから好き」
「それは……どういう好きなのかな?」
「え?」
「ううん、なんでもない。そっかそっか、良かった。覚えてるんだね。名前も一緒だしね。こんな奇跡あるんだね」
よく分からないけれど、お姉さんは嬉しそうにニコニコしていた。
「ねえ、圭介くん」
「何?」
「たぶん会えるよ、そのお兄ちゃんに。もうすぐ」
「ほんと??」
「うん。姿は違うかもしれないけど」
「ダイジョウブだよ! 僕、絶対分かるもん!」
「そうなの?」
「うん」
夢の中のお兄ちゃん。僕の好きなガンバレンジャーの赤レンジャーのお兄ちゃんより格好いいんだ。背がすっごく高くて。僕が草むらでごろごろしてる夢を見ると出てきてくれる。
大きなあったかい手でいいこいいこしてくれるんだ。目の横にぷくって黒い点が付いてて、それ何って聞いたら、ほくろだって言ってた。
ほくろのお兄ちゃん。
いつもとっても優しく笑ってくれるんだ。
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