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エピローグ ④

「あ!」  豆腐の青木さんの看板だ。あそこの角を曲がって、ぱてぃしえ三木のケーキ屋さんの前を通って、さんかく公園を横切ったら、お家がある。お姉ちゃんが立ち止まった。 「もう、道分かるよね?」 「うん」 「じゃあ、お姉ちゃん、もう行くね」 「え?? 行っちゃうの??」 「うん」 「また、会える?」  お姉ちゃんが、ニコリと笑って頷いた。 「バイバイ」 「バイバイ」  お姉ちゃんに手を振って、豆腐の青木さんの角を曲がった。 「圭介!!」  遠くから誰かが僕の名前を呼んで走ってくる。 「ママ!!」  僕も全速力で走った。ママの胸の中に飛び込む。 「どこに行ってたの!! 心配したんだよ!!」 「ごめんね。お外で遊んでたんだ」 「勝手に出ちゃダメだって言ってるでしょ!!」 「うん……ごめんなさい」 「もう……」  ママは困ったような顔をしながら笑った。 「ほら、帰ろう。今日はね、お客さんが来る予定なんだよ」 「お客さん?」 「うん。お隣にお家が建ったでしょ? 少し前に。あそこに引っ越してきたご家族を夕飯に招待したんだよ」 「そうなの?」 「実はね、ママが学校に行ってた時のお友達なの」 「へえ。すごいね」 「うん、だから早く帰ってお料理しなきゃ」  ママと手をつないで、『ガンバレンジャー』の歌を歌いながら帰った。

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