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第2話 ⑭
「圭介くんさぁ。樹のこと、嫌い?」
「は?? そりゃ、好きか嫌いかって言われたら嫌いな方だけど」
「なんで?」
「なんでって……。勝手に現れて、勝手に私物使われて、勝手な都合で生気取られて、好きって言える奴っているの?」
「あはは。そうだよねぇ。あいつ顔と体はいいけど、性格最低だもんねぇ」
ケラケラと亜紀が笑った。
「でも、最近の樹は可愛いもんだよ」
「は?? どこが??」
「昔はねぇ、あ、生きていたころも含めてね。もっと最悪だったよ。いつもギスギスしててさぁ。他の奴なんて関係ない、みたいな。友達もいなかったと思うし。セフレ以外。思いやりの欠片もなかったし」
「今もそうじゃん」
「そんなことないよ。樹は変わった。圭介くんと会ってから」
「…………」
「かなり丸くなった。圭介くんと楽しそうに会話するの見てびっくりしたもん、最初。あいつ笑ったりするんだって。私とはさぁ、まあまあ気が合ったからお互い一緒にいても楽だったけど、それでもあんな風にリラックスしてる樹なんて見たことなかったし」
「……リラックスし過ぎて我が儘放題だけど……」
「甘えてるってことだよ、圭介くんに。それ自体奇跡だけどさ。その上、圭介くんのために料理なんて作っちゃったりして、ほんと、びっくりだった」
私には一度も作ってくれなかったくせにぃ、と亜紀が不満そうな顔をして膨れた。
「それは……。俺が食生活とか悪いと生気の質に影響が出るからじゃないの?」
「そうだけど、樹はそんなの気にしてなかったよ、前は」
「え?」
「圭介くんの前に生気を貰ってた人たちには、そんなこと一切気にしてなかったよ。一応、エッチできるレベルの人選はしてたけど。それももっとなんていうか……ビジネスライクな感じだったし。だから、生気取れるだけ取って、飽きたら追い出してたもん、部屋から」
「そうなの?」
「うん。相手の体を気遣うなんてないし。エッチももっと適当っていうか、生気のためにやってる感が凄かったけど。他の方法よりはエッチの方がマシって感じで。だけど、圭介くんとは本当にカップルがエッチしてるっぽいもんね」
「……ちょっと、待って。なんで、亜紀さんが知ってるの?」
「え? あー……たまに、見させてもらってるから?」
「ええええっ!!! マジで??」
「たまーにだって。あとは、樹からポツポツ聞いてるし」
「……俺、今、めちゃめちゃ恥ずかしいんだけど……」
「あ、気にしないで。気配消してるし。いても分かんないって」
「……そういう問題じゃないんじゃないの?」
どうせなら知らなきゃ良かった、と圭介は今聞いた事実に驚きと羞恥心が隠せないでいた。
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