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ロックな話〜番外編
その頃、埜明と暁は近くのファミレスで何かを話していた。
「ねぇあっくん。何も疑問に思わず話しちゃってたけどさ、あの二人が付き合ってるの知ってたんだね」
「あぁ、依織に前から相談受けてたから」
バンっと埜明が机を叩いた。
「え? 前から相談って、五十嵐くんが恋愛相談ってこと? へー以外」
「俺だって最初びっくりしたよ。今回部に入るって言い出したのも、陽樹がいるって教えたからなんだよ」
「へー、思ったよりラブラブ。いいよねー両思いって」
埜明は自分が頼んだジンジャエールのストローをくるくる回しながら溜息をつく。
「え!? 蜂谷す、好きな奴いんの?」
「なにきょどってんだよ。そんなものいたことないよ」
そっと安心したように肩を下ろす暁。
「あーあとさ、今日曲終わったら言うっていうやつ、言ってなかったね」
「あ、忘れてたわ。あの曲を陽樹が書いたって聞いたら、依織真剣に練習するかなって思ってたんだけど」
メニューを広げながら早めの夕食を見る暁からメニューを奪い取る埜明。
「おい」
「俺全部食べられないから半分こしよ。お代は俺もち。足りなかったら自分で頼めばいいでしょ?」
「相変わらず少食だな。もっと食べねぇと身長伸びねぇぞ」
「大丈夫。あっくんより低くてもちゃんと平均以上は身長あるので」
ベルを鳴らし注文をする埜明を見つめ、暁はそっと自分の気持ちに蓋をした。
いろんな人と付き合ってきた中で、初めて心を奪われた埜明への気持ちを。
この恋が実るのは、まだもう少し先。
第2話 ロックな話〜番外編 end
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