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ホストクラブ☆怒羅権(3/3)

 ガルドはそっと僕の背中に腕を回し、次第に強く僕を抱きしめて、熱い息を吐いた。 「ドラゴン以外の種族とするのは初めてだから、NOはわかりやすく、はっきり言って」 「うん」  ガルドの手が絶対領域を撫でる。滑らかな爪の背で撫でられると、全身がゾクゾクして、身体が震えた。  「エリオットちゃん、本当にパンツ穿いてないの?」 「どうかな。ガルドが確かめてよ」  ワンピースの裾が持ち上がって、太ももに爪が触れる。僕の肌を傷つけないように優しく扱われているのがわかって、ドキドキした。  同時にガルドの唇が首筋に触れて、軽く吸われる。 「あんっ……」  変な声が出ちゃって、慌てて口を押さえる。ガルドが目を細めて、低い声で言った。 「エリオットちゃんの声、可愛い」  そのまま胸元のボタンがはずされ、僕もガルドの白シャツのボタンをはずした。肌に直接ガルドのうろこが触れる。そのなめらかな感触に、身体がまた勝手に震えた。 「大丈夫?」 「うん。ガルドのうろこ、気持ちいい」 「エリオットちゃんの肌も気持ちいいよ」  顔から首筋、鎖骨、肩とたくさんのキスを受けた。鋭い爪でそっと胸の粒を引っかかれて、全身に甘い痺れが広がった。 「ん。きもちい」 「もっとしてあげる」  赤く硬く育てられた乳首は、ガルドの口に含まれた。長くて細い舌の動きは繊細で、僕はくすぐったさが快感に変わるまで刺激を受け続ける。気持ちよすぎて逃げそうになる僕の身体はガルドにしっかりホールドされて、僕の身体の中にはたくさんの快感を押し込まれた。 「あ、ん。あん……っ。もっと」  ちろちろと動く舌が気持ちよく、軽く吸われた瞬間に僕は震えながら達した。 「エリオットちゃん、可愛い」  口の周りをぺろりと舐めて笑い、反対の胸にも吸いついた。 「ああ、もう……っ」  僕は逃げるのを許されず、強引に快感を味わわされてまた遂げた。 「エリオットちゃん、いい子」  遂げて熱くなった頬にキスされた。恥ずかしくて、力の入らない手でガルドの頬を叩こうとしたのに、その手は彼の手に握られてしまった。喘いで激しく上下する僕の胸を、ガルドの手と唇がすべっていく。  熱く疼く昂りがガルドの手に握られ、刺激された。さらに熱い口に含まれ、細い舌を這わされて、僕の身体は勝手に跳ね上がる。 「あっ、でちゃう。ねえ、ガルド。でちゃう!」  僕の放った欲は、そのままガルドに飲み下された。 「エリオットちゃんのって、はちみつみたいでおいしい。魔法使いの体液は美味しいって、本当なんだね」 「感想なんか言わないで」  僕は恥ずかしさでぐずぐずになっていた。セックスとは気持ちよさを楽しむためのものだと思っていたのに、今はなぜか恥ずかしくてたまらない。  ガルドの手がおしりに伸びた。 「本当にぷりぷりだ」 と呟きながら揉み始める。熱い指先が肌に沈んで、思わず腰が跳ねた。 「あんっ! お、おしりは。僕の、武器だも……んっ!」  ガルドは笑って、僕の肌をなで上げながら、ワンピースを全部脱がせた。キャンドルの灯りに照らされた裸を見つめられて戸惑ったけど、ガルド目は真剣だった。 「エリオット。きれいだ」  そういうガルドのまなざしも身体も精悍で、僕はますます胸の奥がざわついて、恥ずかしさがこみあげてきた。  顔を背けると、ガルドが覆いかぶさってきて、唇を重ねてくる。さっきより深いキスで、頭の芯までぽんやりする。ガルドの手が胸を撫で、おしりを掴んで、身体中を熱く這う。僕はガルドの白シャツの襟に手を伸ばし、引っ張って脱がせた。うろこに覆われた身体のたくましさをじかに抱いて、いとおしいと思った。 「エリオットちゃんに抱かれてると、寂しい気持ちが全部溶ける……なんてね」  ガルドはおどけて音を立てたキスの雨を降らせ、僕を笑わせて緊張を解いてから、ゆっくりと僕の足を開いた。左右の足を抱え、太ももにキスしながらおしりに顔を埋めてくる。熱い舌が這った。 「あっ、そこは、やばいって……」 「やばくない。魅力的だ」  くすぐったさが快感に変化して、僕が声を上げるまで、ガルドは丹念に僕の蕾をほどいた。 「ああ、もう……。来て、ガルド。来て」  両手を伸ばしてねだったら、ガルドはようやく身体を起こした。  僕の中に入ってくる。直接触れる粘膜の熱さと、内側から押し広げられる圧迫感が気持ちいい。摩擦が始まると頭がぐちゃぐちゃになった。ガルドが腰を揺らすたび、快感が湧き上がる。一人ではその快感に耐えられなくなって、僕がガルドの背中に手を回すと、ガルドが 「好きだよ、エリオットちゃん」 と耳元で囁いた。僕も気持ちがあふれてしまって「ガルド、ガルド」 と名前を呼び続けた。  僕たちは夢中になって抱き合った。時間の経過もわからず、ただ解放を求め、高みをめざした。 「あっ、あっ、ガルド。ガルド」 「エリオット……っ」  快感が膨らみ続け、限界を超えて爆ぜるのはほぼ同時だった。  終わった後、僕たちはソファに倒れ込んだ。呼吸が整い始めた頃、ガルドが僕の髪を爪の先ですくいながら、寂しそうに言った。 「次に行く場所は決めてるの?」 「次に行く場所……」  僕は師匠とおじさんを思い出した。帰って呪いが解けましたと報告したところで、またろくに魔法を教えてもらえないまま、こき使われる日々の始まりだ。貞操帯をガチャガチャ鳴らしながらおじさんは懲りずに色目を使って来るだろうし、師匠にはおしりをぶたれるだろうし。あの夫婦の元に帰るって選択肢はないなぁ。金庫から根こそぎもらってきちゃったし。 「急がない旅なら、しばらくここにいてよ。俺、エリオットちゃんと一緒にいると、とても幸せな気持ちになるんだ」  その声が温かくて切なくて、僕は埃っぽい店内を見回した。確かに、誰も来ないホストクラブに一人きりじゃ寂しすぎるだろうと思った。 「一緒に温泉施設でも作る? 僕、水を移動させる魔法だけは得意だからさ。たくさんお客さんが来るようになるまでなら、一緒にいてあげるよ」  ガルドが目を丸くして、羽をバタバタさせる。 「温泉!? マジかよ、エリオットちゃん天才だNE♡ ずっと俺と一緒にいてくれるの?」 「ずっとかどうかは、少し考えさせてもらうけど」  こうやって焦らす自分の性格の悪さがちょっぴり悲しくなるけど、明日か明後日か、とにかくなるべく早く素直になるから、ちょっとだけ待っててほしい。 「ずっと考えてていいから、ずっとずっと一緒にいてNE♡」  ガルドが僕の手を握る。爪が当たらないよう気遣ってるのがわかって、僕は心の中で『なるべく早くお返事します』と思った。  次の日、僕は水魔法で温泉を引いた。ホストクラブの真ん中にできた岩風呂は、岩肌がむき出してキャンドルライトが揺れる内装と、よく合っていた。 「エリオットちゃん、カシオレだZE☆」  僕は温泉に浸かりながらカシオレを飲む。ガルドが隣で羽をぱたぱたさせて、僕の肩に寄りかかってきた。 「運命の出会いを果たせてよかった! 寂しく留守番していた甲斐があったよ」  ストレートな言葉に顔が熱くなって、僕は手にすくった温泉をガルドのうろこに覆われた頬にかけた。 「いちいち大げさ。でも、僕もガルドと一緒にいると、心まであったかくなるよ。こんな気持ちなら、ずっとでもいいかも」  その言葉に、ガルドは僕を抱きしめた。 「大好きだーっ! エリオットちゃんとなら、毎日がバカンスだZE☆」  YO! YO! と騒ぐガルドと飛んでくる水しぶきに、僕は笑い続けた。 
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今日まで9日間連続で更新してきたのですが、当て馬をまったく書いていないことに気づきました。