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第二章 希望への第一歩

「たったの一週間で、柔道部を辞めた、だと!?」  大声で怒鳴られ、瑞樹は委縮した。 「お前には、Ωには根性というものが無いのか!」 「で、でも、父さん。僕、昨日3年生に乱暴されて。それで」 「運動部では、よくあることだ。先輩のしごきは、ありがたく受けるべきなんだ」  そうじゃなくって。  乱暴、ってのは、そういう意味じゃなくて! 「レイプ、されたんだ。3年生の柔道部の人に」  小さな声での、ささやかな抵抗だった。  しかしそれは、父には全く通じなかった。 「お前に隙があるからだ! 全く、だからΩは!」  心無い父の言葉に、瑞樹は絶望した。 「発情抑制剤は、ちゃんと飲んでるんだろうな? 薬代を使って、ゲームか何かに課金してないだろうな!?」  ひどい。  父さん、ひどいよ。  その後も父の叱責は続いたが、瑞樹の耳には、もう何も聞こえてはこなかった。

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