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第二章・9

「そ、それで。僕の仕事内容は何でしょうか?」  月収30万円に、すでにここにお世話になる気満々だったが、瑞樹は一番肝心な点はハッキリさせておきたかった。 「それは、私の助手だ」 「叶さんの、助手。ですか」 「私が仕事をやりやすいよう、いろいろと働いてもらう」 「いろいろ、って。例えば、どんなことでしょう」 「たくさんあるぞ。草刈り、散水、肥料の配合。後は、その他だ」  そうだった。  瑞樹は、渡された誠の名刺を改めて見た。  そこには『株式会社 叶植物園』としっかり書かれていた。  ここは、植物園だ。  植物の管理が、主な仕事になるんだ。 「結構ハードな肉体労働だ。体力に自信はあるか?」 「高校の頃、(1週間で辞めたけど)柔道部でした!」  それは頼もしい、とそこで誠は初めて微笑んだ。  理知的に見える誠が、笑うと意外に幼く見える。  勤務条件、仕事内容、ボスの笑顔に充分満足した瑞樹は、その場で契約書に判を押した。

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