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第三章・2

 機械を左右させるたびに匂う、青い香り。 (ごめんね。君たちだって、生きてるのにね)  園芸部の頃から、草刈りの時はそう思っていた瑞樹だった。  トルコギキョウのように、華やかな花は咲かせないけど、同じ植物なのに。 「思いきりが悪いな。道具の使い方は巧いのに、なぜだ?」 「叶さん、どうして雑草と言うだけで、刈られなくちゃいけないんでしょうか」  瑞樹は、先だってから頭の中を渦巻いている考えを、口にした。  そんな瑞樹の問いかけに、誠は驚いたようだったが、答えをくれた。 「すまない。ただ、近所から苦情が来てね。藪にしておくと害虫や害獣の棲みかになる、ってね」  害虫や害獣だって、人間の目線から見た線引きでしかない。  彼らだって、生きているのに。  そんな意志を込めた瑞樹の眼差しに気づいたのか、誠は重ねて謝って来た。 「辛い仕事をさせて、すまない。ただ、引き受けたからには、きちんと遂行してくれ」  それが、働くということだ。  後は、耕運機の使い方を教えると、誠は屋内へ戻ってしまった。

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