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第四章・3

「白川くんは、Ωだろう。セックスが怖いΩが、いるのか」 「怖い、です。怖い……」  下を向き、ぶるぶる震えながら瑞樹はフラッシュバックに耐えていた。  高校1年生の時、柔道部の3年生たちにレイプされたことを思い出していた。  そして最後には、そんな目に遭いながらも快楽に溺れて果ててしまった自分の狂気を、思い出していた。 「僕は、自分が怖いんです……」  その言葉に、誠は瑞樹の過去に何かあったのかと勘付いた。  剥き出しになった上半身に、そっと指を当てた。 「んッ!」  びくん、と身をすくめる瑞樹が痛々しい。 「よかったら、話してみないか」 「え?」 「白川くんの辛い過去、話せば少しはスッキリするかもしれない」 「でも」  恥ずかしくないから。  怖くないから。  誠の指先は、まるで魔法のように瑞樹の気持ちを鎮めていった。

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