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第四章・5

 夜が来た。 「どうしよう……」  瑞樹は、昼の出来事と自分の返事に困惑していた。 『夜は、付き合ってもらうよ』 「あぁ! それで僕、はい、って言っちゃったんだ!」  誠のことは、好きだ。  穏やかで、クールで。  父のように、激情に任せて振舞うことなどない誠を、瑞樹は信頼していた。  食事を終え、お風呂に入り、パジャマになった時に部屋のドアがノックされた。 「は、はいッ!」  誠が来るかと思いきや、入って来たのは石丸だった。 「白川さん、若様がお呼びです」  やっぱり……!  僕、叶さんとセックスしなきゃならないんだ。  うなだれていると、石丸が声をかけて来た。 「どうか、若様をよろしくお願いします。若様の心を、慰めてください」 「え?」  どちらかと言えば、慰められたのは僕の方なのに。  不思議に感じたが、ボスの命令には従わなければならない。  瑞樹はパジャマのまま、誠の部屋へ向かった。

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