31 / 67
第四章・5
夜が来た。
「どうしよう……」
瑞樹は、昼の出来事と自分の返事に困惑していた。
『夜は、付き合ってもらうよ』
「あぁ! それで僕、はい、って言っちゃったんだ!」
誠のことは、好きだ。
穏やかで、クールで。
父のように、激情に任せて振舞うことなどない誠を、瑞樹は信頼していた。
食事を終え、お風呂に入り、パジャマになった時に部屋のドアがノックされた。
「は、はいッ!」
誠が来るかと思いきや、入って来たのは石丸だった。
「白川さん、若様がお呼びです」
やっぱり……!
僕、叶さんとセックスしなきゃならないんだ。
うなだれていると、石丸が声をかけて来た。
「どうか、若様をよろしくお願いします。若様の心を、慰めてください」
「え?」
どちらかと言えば、慰められたのは僕の方なのに。
不思議に感じたが、ボスの命令には従わなければならない。
瑞樹はパジャマのまま、誠の部屋へ向かった。
ともだちにシェアしよう!