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第五章・4

 翌日、瑞樹は休暇を取った。  体がだるい。  やや、熱っぽい。  そして、甘く疼く後膣。 「僕、叶さんに抱かれちゃったんだ」  恐怖を悦びに塗り替えてくれるような、優しいセックスをしてくれた。  いつ、どうやって、自分の部屋に戻ったか覚えていない。  ただ、誠が抱えて運んでくれたことは覚えている。  ベッドの中で、とろんとしていると、石丸が現れた。 「白川さん、具合が良くないと聞きましたので」 「あ、すみません」  石丸は、朝食をトレイに乗せて運んで来てくれたのだ。 「連日、草刈りや芝の養生に働き詰めだったからでしょう。ゆっくりお休みを」 「ありがとうございます」  それから、これを。  石丸が渡してくれたのは、シンビジウムの鉢植えだった。 「若様からです」 「叶さんが?」  昨日はハイビスカスの花を使って、気持ちを伝えてくれたけど……。  瑞樹は、スマホで花言葉を調べた。 「飾らない心」  石丸は、深く頷いた。 「若様は、白川さんに心を開く御覚悟なのでしょう」 「覚悟、って」 「どうか、若様を支えてあげてください」  石丸が部屋を出た後、瑞樹は朝食を摂ることも忘れてシンビジウムに見入っていた。 「飾らない心、か……」  それは、誠が本心剥き出しで瑞樹に接してくるということなのだろうか。  楽しみでもあり、不安でもある瑞樹だった。

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