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第五章・6
中に通され、再び驚いた。
そこには、無数のバラの花々が絢爛に咲き誇っていたのだ。
「ここは、バラ専門の温室ですか」
「そう。半分は当たっている」
半分。
後の半分は?
「ここは、青いバラを創り出そうと品種改良を重ねている聖域だ」
「青い、バラ」
でも、と瑞樹は考えた。
確かに青いバラは、以前は創り出すことが不可能とされていた。
だが今は、遺伝子操作で見事にその姿を人類に見せてくれたのでは?
「私の家は、代々植木などの植物を扱っていてね。青いバラを生み出すのは、曽祖父からの悲願なんだ」
バイオテクノロジーに頼らない、自然の力を借りて出現させる、青いバラ。
それが、誠の研究目的なのだ、と言う。
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