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第五章・7
「これが最近できたものなんだが。白川くんには、どう見える?」
華やかに開く、バラの花弁。
やや青みの強い、薄紫色、といったところか。
それを素直に伝えると、誠は自嘲気味に笑った。
「やっぱりそうか。私は、空のような青を創りたいんだがね」
「やりましょう、叶さん。僕も、一生懸命お手伝いしますから!」
思いがけず大きな声を出した瑞樹に、誠は驚いたようだった。
しかし、彼の肩に手を置き静かに言った。
「やってくれるか、白川くん」
「はい!」
それからの瑞樹は、主に誠の仕事を手伝うようになった。
土の配合、肥料の調整、意外に気を遣う散水。
そして……。
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