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第五章・9

 そんなことを繰り返すうちに、瑞樹は日中の仕事をする間も誠のことを想うようになっていた。 「白川くん、今日の散水は、300ml少なめにしてくれ」 「はい」  真剣にバラの管理をする誠の横顔を見ると、胸が高鳴る。  今からもう、夜の仕事のことを考えるようになっている。  (どうしよう。叶さんのこと、どんどん好きになっていっちゃう……) 「白川くん、どうした?」 「あ、はい! すみません!」 (でも、叶さんは僕のことを、どう思ってるんだろう)  愛してくれるのは、ベッドの中でだけ。  しかも、肉体関係のみ。 「何だか、切ない……」 「どうした、白川くん?」 「な、何でもありません!」  僕の片思いなのかな。  叶さんは、本当に性欲処理のためだけに、僕を抱いてるのかな。  瑞樹は、大きなため息をついた。

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