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第六章・6

「あ、れ……?」  瑞樹は、眼を覚まして辺りを見回した。  ここは、僕の部屋だ。  いつ、どうやって、自分の部屋に戻ったか覚えていない。  ただ、誠が抱えて運んでくれたことは覚えている。 「また、やらかしちゃったんだ。僕……」  以前も、こんなことがあったっけ。  初めて誠に抱かれた日の翌日を、瑞樹は思い出していた。 「そして、こうやってボーッとしてると、多分」   ベッドの中で、とろんとしていると、石丸が現れた。 「白川さん、具合が良くないと聞きましたので」 「すみません……」  石丸が、また朝食をトレイに乗せて運んで来てくれた。 「ありがとうございます」  それから、これを。  石丸が渡してくれたのは、ヒヤシンスの鉢植えだった。 「若様からです」 「叶さん……」  紫色のヒヤシンス。 「花言葉は、『許してください』」  石丸は、悲し気な眼をしていた。 「白川さんは、ここをお辞めになるかもしれない、と若様がおっしゃっておられました」 「僕、辞めません!」  辞めませんよ、叶さん。  一緒に、青いバラを見るまでは!

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