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第六章・7
元気に温室へ現れた瑞樹に、誠は驚いた。
(てっきり、辞めるかと思っていたのに)
瑞樹は誠の傍に来ると、ぺこりと頭を下げた。
「叶さん、お花ありがとうございます」
「いや、私の方こそ」
昨晩は、すまなかった。
そう言う前に、瑞樹が口を開いた。
「さぁ、今日の作業を始めましょう!」
さっそく散水の準備をする瑞樹に、誠は微笑んだ。
「強いな、白川くんは」
「……強くしてくれたのは、叶さんです」
その笑顔。
温かな言葉。
昨日はちょっとびっくりしたけど、僕は叶さんが好き。
(大丈夫、やっていける)
僕は、叶さんについて行くんだ。
そして一緒に、青いバラを咲かせるんだ。
瑞樹の決意は、より強くなっていた。
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