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第4話 初夜(※)
その夜の事。
想いを交わして初めて迎える夜です。
2人は緊張しながら、並んで寝台に座りました。
毎晩小さな寝台で手を繋いで眠っていたのに、恥ずかしくて触れ合う事さえできません。
セラと恋人になる日がきたら、たくさん愛の言葉を囁こう、初夜は世界で一番大切に抱こうと決めていたキールも、あれだけ性に奔放だったセラも、頰を染めてうつむいたままです。
「セラ…」
キールが優しい声で名前を呼ぶと、セラの体がビクッと跳ねました。
高鳴る胸を両手で押さえながら顔を上げると、照れて真っ赤になったキールがセラを見つめていました。
「触れても…いいか」
「う、うん…///」
本当は早く触れて欲しいと思っているのに、うなずく事しかできません。
キールは大切そうにセラの手に触れました。
キールの大きくて優しい手は、いつもより温かくてしっとりしていました。
傷一つない手の甲やほっそりした指先、桜貝のような爪…セラの手の形を確かめるように丁寧に撫でていきます。
まだ、手に触れられただけなのに、セラは体の奥が熱くなるのを感じました。
「キール…」
セラもゆっくりキールの手を撫でました。
いつも町の皆や自分を守ってくれる強くて優しい大好きな手です。
「セラが好きだ。セラを抱きたい」
勇気を振り絞ってキールが告げると、セラは耳まで真っ赤になりました。
「俺もキールが好き。大好きなキールに抱かれたい」
セラの言葉にもう迷いはありませんでした。
淋しさを紛らわせるためでも、ただの性欲処理でもありません。
愛しているキールにだから抱かれたいと心から思ったのです。
2人は微笑みあって、そっと体を寄せました。
キールがセラの頰に触れると、セラは静かに瞳を閉じます。
2人はようやく初めての口づけを交わしました。
お互いの唇は温かくて柔らかで、どこか甘い気がしました。
「好きだ、セラ…」
2人は何度も優しい口づけをしながら、お互いの着ている物を脱がせ合い、生まれたままの姿になりました。
結っていたセラの髪をほどくと、ふわりと甘い香りがしました。
柔らかな髪をすくって口づけると、セラはますます照れました。
恥ずかしそうに両手で体を隠すセラの頬に触れるだけの口づけをして、ゆっくりとセラを寝台に寝かせます。
「寒くないか」
「少しだけ…。キールで温めて…」
甘えるような誘うような潤んだ瞳に、キールは心臓が射抜かれるような思いがしました。
その華奢な体の上に覆い被さって、温めるように抱きしめました。
それぞれに体を繋げた経験があるはずなのに、2人とも初めての時のように手が震えてしまいます。
「キールが好き…。もっとキールを知りたい。教えて…キールの全てを」
セラのしなやかな指が、そっとキールの頬に触れました。
それを合図に、キールはセラの額や瞼、鼻の先、頰、首筋や鎖骨…と、陶器のように滑らかな肌を唇で撫でるように愛していきます。
合間に形の整った唇に口づけをすると、セラは幸せそうに笑うのです。
キールは今夜のセラの笑顔が一番可愛いと思いました。
「…ぁ…キール…」
キールが触れた可愛らしい両胸の先は、いつかセラへのお土産にした果実のように色づいていました。
誘われるように口にふくむと、セラは甘い砂糖菓子のようなとろけた声で悦びました。
「セラは胸まで可愛いな」
ずっとこうしたかった…と囁き、口元の甘やかな尖りを舌先で転がしながら、もう片方の果実を指先で引っかくように愛していくと、セラの声に甘さが増していきます。
「あっ…はぁん…ぁっ…」
キールの頭を抱き寄せ、もっととねだるように胸を押しつけてくるセラの妖艶な姿に、興奮したキールの下半身はどんどん熱を帯びていきます。
はやる気持ちを抑えながら薄い腹や骨張った腰を撫で、セラ自身へ手を伸ばします。
そこは確かに存在を主張し、触れて欲しそうに蜜を滴らせていました。
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