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目覚めの悪い朝だった。蒸し暑い夏休みの最終日で、学校の用事で登校しなければいけない日でもあった。
夢は変にリアルで、火事の煙が襲ってくる様子、夏の暑さとは全く違う炎の熱さ、自身が経験したかのような夢だった。本当に夢なのか、と思うほどだ。
「そーちゃん、おきてる?」
部屋の扉を叩いてから声が聞こえた。 近くに住む幼なじみの聞き慣れた声だった。
「ああ、どーぞ」
扉に声をかけるとドアノブが回り、見知った茶髪頭が見えた。
「まだその頭。明日から学校なのに」
「今日の夜染めるからいいんだよ」
幼なじみの伊織は先ほどまで壮が眠っていたベットに腰掛けた。夏休みが始まってすぐ染めていた茶髪のパーマ頭がクーラーの風でゆらゆら揺れている。
「汗だくじゃんか!こんなにクーラー効いてるのに!」
じっとりと湿っている壮の頭を指差して伊織は言った。パジャマ代わりの半袖シャツを脱ぎ捨てて、頭に手をやると確かにじっとりと湿っていた。
いやな夢、という言葉に少し反応してしまうが、あまり覚えてない。火に囲まれていた事と、とても嫌なことをみた、という記憶だけが残ってる夢だ。詳細はあまり覚えてなかった。
「風呂入ってくる……。て言うか何しに来たの、俺今日学校行かなきゃダメなんだけど」
クローゼットから制服の中に着る服を取り出す。
「夏休み全然会えなかったから、会いに来た。って言うのは建前で、宿題見せて」
ニコッと笑窪を見せて笑う伊織に、はあ、とため息をついてしまう。毎年毎年こうだった。夏休み初日に少しだけ宿題を広げて、次開くのは夏休みの最終日。間の日は海にプールに祭りに、高校に上がってからはバイト。毎日忙しくしている伊織は最終日に決まって壮の家に宿題を写しにきていた。
「夏休みも週一回は来て、ウチで晩ご飯食べてたくせに」
えへへ、と伊織は笑いベットから勉強机に移動し、ノートを広げた。
「帰ってくるまでに終わらせとくからゆっくり頑張ってください!生徒会長!」
「じゃあ帰ってきたらゆかりで晩ご飯奢りね」
行きつけのお好み焼き屋を言うと、伊織はオッケー!と人差し指と親指で丸を作った。甘やかすのはあまり良くないと思いつつ、壮は伊織の笑顔には弱く、明るい伊織の笑顔におかげか、起きたときに感じた夢の嫌な感じはどこかに消え去っていた。
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