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「じゃあまた。暑いからってあんまり冷たいの飲みすぎたらダメだよ」  カフェを出て、壮は黒澤の運転する車で自宅まで送ってもらった。ケーキを食べてからは、学園祭の事を話したり、壮の通っている学校の話をしていた。  数時間話したあと、帰る頃にはほんのすこしだけ打ち明けていて、黒澤も冗談を漏らすほどになっていた。 「大丈夫です、わざわざありがとうございました」  車から降りると、黒澤も運転席から降りてくる。  車に乗る前に被っていた帽子などは取り払われ、いまは大きな伊達眼鏡だけになっている。 「じゃあまたね」  頭をポンポンと叩かれ、ぐしゃっと撫でられる。  カフェでの告白は冗談だったのか、と思うほど黒澤はその件に触れてこなかった。しいて掘り返す話題でもないので壮もそのまま放置で、今に至る。  自分より身長の高い黒澤を見る。顔も整っており、金髪も似合う。なんでそんな男が俺に好意を抱いたのだろう。  黒澤を見ながらぼーっとしていると、頬をさらりと撫でられる感覚があった。 「そんな顔してるとチューしちゃうよ」  頬を撫でたあと、唇を一撫でする。 「え、いやいや!帰ります!!」  手をぱしっと払うと、黒澤の笑い声が聞こえる。口元を緩めさせ、優しい目で笑っていた。 「そんな意識されてるなんて、嬉しいよ」  再度頭をぽんっと叩くと、黒澤は運転席の方に戻り、車に乗り込む。 「じゃあね、また会いにくるから」  助手席の窓をあけ、そういい、車は走り去っていった。

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