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 学園祭当日になった。  前日である昨日は高熱が出て、思うように体が動かず欠席してしまった。 「冴島くん大丈夫?」  生徒たちが登校し始めるずっと前に一通り校舎を見て回る。昨日よりかは幾分かマシだが、頭がぼーっとしていて、咳が止まらない。 「ああ、何とか……。ごめん悪いけど今日の黒澤さんの対応変わってもらってもいいかな?」  それさえ対応できれば、壮自身が学園祭ですることは特になかった。緊急対応も先生に出来る限り手伝ってもらい、生徒会室で座って出来ることだけに集中しよう。 「それは構わないよ!ゆっくりして、とは言えないかも知れないけど、生徒会室で座ってて大丈夫だから!」  加賀のその言葉にほっと心を撫で下ろし、いつもよりゆっくり歩き、生徒会室へ向かう。 「寝てても大丈夫だから。僕たちで手に負えないことが起こったら起こすかもしれないけど、それまで眠ってて」  そういって加賀は出て行く。  壮はゴホゴホ、と咳をこぼしながら机にうつ伏せた。いつもならこんな体勢で寝れない、と寝るのを諦めるが、今日は瞼が重く、すぐに眠りについてしまった。  眠っていたというよりは気を失っていたのか、意識を取り戻した時は日が生徒会室まで入っていた。でも眩しさは感じず、自身の寝ていたところだけ影になってる。誰かがカーテンをしめてくれていたみたいだ。  じとっと汗が滲む頭を触ると、額に熱さましのシートが貼ってあるのに気づいた。寝ていたすぐ近くにはコンビニ袋が置かれており、中には飲み物とゼリーとヨーグルト、小さい頃に好きだった棒付きの飴が入っていた。置いて行ったのは誰かなんて考えなくてもわかる。 「あ、起きてる」  ガラガラ、と扉を引いて入ってきたのは加賀で、見覚えのある白雪姫の衣装を着ていた。 「あれ、それうちのクラスの?」  少し寝てマシになったので、バキバキになった首や腕をすこしだけ解す。  加賀はかぶっていたカツラを机に置き、手に持っていたお茶のペットボトルに口をつける。ゴクゴク、と喉を鳴らしながら飲む加賀。 「白雪姫役の子が劇前に階段で足を踏み外して、代役をって言われて」  加賀ははぁ、とため息をつきながら椅子に腰掛ける。いまだにドレス姿なのに着替える体力がないのかぼーーっと椅子に腰掛けている。 「ごめん、もう寝たから俺がいくよ」  そういうと、加賀は大丈夫、と笑う。 「冴島くんにはいつも頑張ってもらってるから、今日くらいはゆっくりしてて。テキパキ動いてくれてるのが1人いるからさ」  てへ、と効果音が付きそうな笑顔を浮かべる加賀に、ああ、雑用役に任命されたのか、とすこしだけ同情してしまう。  白雪姫の劇が終わったということは十時を少し回ったくらいか、カーテンを開けて校門の前を見ると、まだ人混みがあり、校門で渋滞してるのがわかった。 「入れるだろう、ってノリで来た人が多くて、手間取ってるんだって」  その渋滞の先、入場受付に見えるのは見慣れたパーマの黒髪。汗をかいているからなのかタオルで髪を上げて額を出していた。笑顔を浮かべながら、人混みの対応をしている。 「手伝って」 「手伝うとか駄目だからね」  手伝ってくる、と言う前に加賀は言葉を被せ、止めてくる。 「やっぱり仲良しだね、永妻くんが意地でも止めろって言ってた」  ふふふ、と笑いながら加賀は着替えを始める。   「あと黒澤さんは今日は近づかないように、って校長から言ってもらったからね。あの人ドラマの撮影控えてるから移ったら笑い事じゃないから」  なんて平然に言ってみる加賀。  すこしだけイライラしているような、そんな雰囲気を感じ取った。  

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