40 / 47

12

「壮は?」  コンビニで少しだけ買い物をしてから、急ぎ足で学校へと向かう。  いつもと全く違う雰囲気の校内を歩いていると、生徒会の腕章をつけた加賀とばったり遭遇した。 「生徒会室。だけど、体調崩して寝てるかも……」  加賀が言い終わる前に生徒会室へと向かう。  階段を駆け上がり、侵入禁止のテープをくぐり抜けて、来慣れた生徒会室の前。少し走ったせいで息が上がっているのを胸を押さえて整える。 「……壮?」  寝ているかも、と加賀が言っていたので、なるべく静かに音を立てないように扉を開けると、いつも壮が座ってる椅子と机に人影が。誰かだなんてすぐにわかる。  音を立てないようにゆっくりとそばに近寄ると、寝息が聞こえてくる。  机に腕を置き、手の甲を枕にして壮は眠っていた。クーラーが効いているはずなのに、こめかみからは汗が流れている。  学校に来る前に買った熱冷ましのシートを取り出して、ひとつ壮の額にぺたりと貼る。起きるかもなあ、と思ったが、熱が高いからかシートを貼ると、ふぅ、と少しだけ息を吐いた気がする。 「休めば良かったのに……」  たかだか学園祭。生徒会長が居なくても、先生が代わりに動き回ってくれるだろうに。  そう思いながら、すぐ隣の椅子に腰掛ける。  校庭や校舎はワイワイと賑わい出しているが、立ち入り禁止になっているこの階はしーんとしていた。壮と2人で世界から離されたみたいだな、なんて思う。  すぅすぅと息をしながら寝る壮を見ると、思わず顔が綻ぶ。その柔らかな頬に触れる髪を退かせてやりたい、汗の滲むこめかみを拭いてやりたい、と思うが、触れる寸前の所で思いとどまる。  代わりにじっと脳内に焼き付けるように壮のことを見る。  ずっと見ていても飽きない。長いまつ毛や髭一本生えていない肌、見れば見るほど見惚れる。  生徒会室の静寂を破るように、ピコンと伊織の携帯が鳴った。急いで携帯を取り出しマナーモードに切り替え壮の顔を見る。全く気付く様子もなく寝息を立てている。  携帯の通知にはクラスメイトの名前が表示されており、至急体育館裏に、と簡潔な一言が。  壮は起きる様子もない。起こす気もない。  コンビニの袋を壮の近くに置き、開けっぱなしだったカーテンを引いてやる。  昼食を共に、なんて約束したけどこの熱じゃ無理そうだ。きた時と同様に、ゆっくり音を立てないように生徒会室を後にした。  

ともだちにシェアしよう!