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「兄さんが、悪いんだ」 「っ!」  指で乳首を捏ねられて、擽ったさに体が跳ねた。  先程までとは打って変わって柔らかくなった彼の手つきに、歩樹は警戒心を抱いて更に体を強張らせる。乳首を愛撫することはあっても、されたことなどほとんど無いから、そこから広がる違和感に……内心かなり動揺した。 「感じる? ここ、固くなってきた」 「……っ!」  膝を使って股間を押され、歩樹は僅かに目を細める。 (嘘だ)  こんな状況で勃つなんてことは有りえないと思うのに、弄られ過ぎてジンジンしてきた胸の尖りが疼きだす。  体の変化を認められずに否定を込めて首を振れば、股間を強く押し込まれ……歩樹の体がピクリと跳ねた。 「兄さんってホントはヤるよりヤられる側なんだろ? 男に抱かれるのが好きなんだ」 「っ!」  指で乳首を強く弾かれ歩樹が息を詰めた途端、近づいてきた彼の唇が右の尖りへと吸いついてくる。 「……んっ」  息と一緒に呻きが漏れた。続いて襲ったザラリと濡れた感触に……寒気が背筋を通り抜け、体中へと鳥肌が立つ。 (こ、こんなの……) 『おかしい』と、歩樹は思う。以前の楓が与えたのは、苦痛と屈辱だけだった。こんな風なやり方は、彼の望みとは違う筈なのに、愛撫に近い舌の動きに体が勝手に反応する。 「ん……くっ」  軽く突起に歯を立てられて自然と声が上がってしまい、指を握って歯を食いしばると胸元から……クスリと笑う声がした。 「ほら、男にされて悦こんでる。ハメられるの……好きなんだろ?」  寝衣のズボンに手が掛かる。 (違う!)  歩樹は首を何度も振るが、彼が取り合う訳もなく、そればかりか……舌で尖りをねぶりながら、体を少しずらした楓は下着ごとそれを下へとずらした。 「……っ!」  性器が外気に触れる感覚に歩樹は体を震わせる。 「随分……気持ち良さそうだな」 「ん……クッ!」  胸から顔を離した楓にカリの部分を指で摘まれ、それを細かく揺らされて……自然に喉が鳴ってしまった。 (どうして……こんなっ!)  僅かな刺激で感じる身体がとてもじゃないが信じられない。冷静に……と、思っているのにそれすら出来なくなっていて。 「なに考えてるか知らないけど、この状況じゃ逃げられない。兄さんは、俺にヤられても悦がる淫乱なんだって……さっさと認めて諦めろ」 「っ! んうっ!」  躊躇(ちゅうちょ)なく……そのままペニスを口に含まれ、歩樹は目を見開いた。

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