「ふ……うぅっ」 　舌の先を甘く噛まれて体の力が抜けそうになるが、なんとか堪えて瞼を開く。睨む事までは出来そうにないが、そうすることで流されたりしないと楓に主張したかった。 「んぅぅ……うっ」 　鋭い視線が突き刺さるけれど、背中を撫でる掌と舌が優しく身体を溶かすから……段々おかしな感情が歩樹の胸へとわき出てくる。 （どうして？） 　ずっと酷くして貰った方がまだ冷静に対応できた。 （もし……分かってやってるなら） 　歩樹の気持ちを知った上での飴と鞭だというならば、こんなに酷な仕打ちはない。 （駄目だ、考えるな） 　今は消耗しているせいで、きちんと頭が働かないから思考がおかしな方に行くのだ。 「……うぅっ！」 「考え事？　余裕だな」 　背中から降りた彼の掌に尻をギュウッと鷲掴まれ、割り開くように左右へと引かれて歩樹は思わず後退(あとずさ)るけれど、許さないとでも言うかのように、次の瞬間指がアナルヘと差し込まれた。 「違っ……うぅっ！」 　敏感になった内壁が、伸縮するのが自分で分かる。 「中に注いだの出してやってるだけだ。腹壊したくないだろ」 「自分でできる」 「中、ヒクヒクしてる」 「なっ……あぁっ」 　グチュグチュ中を掻き回され、聴覚さえも犯されるような感覚に囚われた。 「腰、揺れてる。指、気持ちいいんだろ？」 　甘く耳元で囁く声に流されそうになるけれど。 「止めろっ、もう……ねがいだからっ」 （止めてくれ） 　これ以上は堪えられない。今のこんな状態で……そんな風に囁かれたら、自分を保っていられなくなる。頭じゃ違うと分かっていても、縋ってしまいそうになる。 「こんなになってんのに、なんで兄さんは……」 「んぅっ」 　楓が何を言いたいのかを考える隙もないままに、再度唇を奪われてしまい息苦しさに歩樹は呻いた。 「う……んっ」 　口腔と尻を同時に犯され徐々に視界が白み始める。 「ん、ふううぅ！」 　指が入ったままのアナルに切っ先が宛がわれ、間髪入れずに貫かれて歩樹の身体は痙攣した。 「うっ……んぅっ！」 　もう、気持ちいいのか痛いのかも自分では分からない。下から激しく突き上げられ、疲れた身体は過ぎた刺激に対応出来ずに崩れ落ちるが、尚もしつこくいたぶられ……歩樹の意識は混濁した。