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「じゃあ、どんな関係だった?」 「友人だ」 「へぇ、佑樹はちょっと違う関係だって言ってたけど……な」 「っいぃっ!」  刹那、空気を切り裂く音と同時に臀部を激しい衝撃が襲い、次の瞬間広がった熱に歩樹は背後を振り返る。 「プレイ専用じゃないから、痛いかもしれないけど……兄さんは強いから、これくらいやらないと素直になってくれないだろ」 「素直って、それはっ……くぅっ!」 (お前の満足する言葉を言うのが素直だってことなら……それは間違いだ)  そう怒鳴りつけてやりたいのに、ビシリとベルトで打ち据えられ、声はことごとく呻きに変わった。  *** 「ぅっ!」  何回打ち据えられたのだろう? 執拗にベルトで打たれて身体に力が入らない。熱を持った臀部は痛み、意識を保っていることさえも容易ではなくなっていた。 「もう逃げないか?」 「……」  声を絞りだす気力もないから歩樹は小さく頷き返す。楓の為にここを出ていくと言ったのに、こんな惨状になってしまうとは思ってもいなかった。 (もう……)  ここはこのまま意識を飛ばしてしまいたい。 「あぅっ!」  朦朧とした意識の中で歩樹がそう考えた時、一際強く尻を打たれて意識が一旦プツリと切れた。  脳裏にこびりついているのは、赤味がかった楕円の月。母屋から見て一番端、渡り廊下の先にある部屋は、自分たちの住む離れの部屋とは正反対に位置していたから赴いたことは殆どなかった。 (だから、分からなかったんだ)  客間であると言われていたから疑うこともしなかった。だけど、例えすぐに気づいたところで、なにが変えられたわけじゃない。 (俺は確かに間違えた。あの時、楓は……)  必死に助けを求めていたのに、どうすればいいか分からなくなって、結果信頼を失った。 (けど、方法が見つからなかったんだ)  まだ高校生だった自分には、分からないことが多過ぎたのだ。  そんなことを言ったとことで、今となっては言い訳にしかならないが。

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