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(喉が、痛い)
「ん……んうぅ」
夢なのか現実なのか? 瞼をなかなか開けられないまま水を探して指を伸ばすと、掌ごと掴まれてしまいそのままベッドに押しつけられる。
「う……ん」
次の瞬間柔らかな物が口に触れ、唇を割り開くように、侵入してきた舌の感触にキスされたのだと思った途端、水が口内へ注ぎ込まれた。
「ん、んぅ……」
素直にそれを飲み込むと、二度三度……同じように口移しで水分が与えられ、いくらかクリアになった視界に楓の顔が映り込む。
「身体、辛いか?」
「……」
当たり前だと答えたいけれど、声を出すだけの気力もないから歩樹はきつく瞼を閉じた。
「兄さん、怒ってる?」
(また……だ)
また、おかしなことを言いはじめる。
「……怒ってたのは楓だろ」
今度はちゃんと返事をすると、深く息を吐いた楓が瞼へとキスを落としてきた。
「明後日には仕事なのに、無理させちゃったな」
先刻までの横暴さを感じさせない彼の声音に恐怖心を抱いたが、現状では身じろぎすら出来やしない。
「水、もういらない?」
「……いらない」
本当はまだ飲みたいが、そんなことを言ったらまた口移しをされると思い歩樹がそう答えると、ヒンヤリとした彼の掌が額へそっと触れてきた。
「熱、結構あるな」
心配そうな楓の声音に背筋がゾクリと冷たくなる。
「解熱剤があるから飲むよ。だから、ちょっとどいてくれ」
今はとにかく彼から離れて早く一人になりたくて、そう告げながら自然な形で起き上がろうとしたけれど、楓は腹を跨いだままそこから退いてはくれなかった。
「かえっ……んぅっ!!」
そればかりか、咬みつくようなキスを歩樹へと仕掛けてくる。
「んっ……うぅっ」
薄く開いた唇から、舌が中へと入り込み、歯列をくまなくなぞられるうち、意志に反して身体はピクリと反応を示してしまう。
「ふっ……ん、んぅ……」
さらに股間を膝でなぶられ、堪らず身体を引こうとするが、手首は強く握られていて逃れることは叶わなかった。
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