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「自由にしてやるけど、もし逃げようとしたら兄さんの服剥いで、慣らさないで突っ込むから」
脅しではなく、本当に彼はやるだろと考えただけで体がビクリと戦慄いた。正直こういう時の楓には恐怖心しか抱けない。
「……」
何か言葉を一つ返せば逆鱗に触れてしまいそうな空気に体を小さく震わせて、歩樹は黙って膝立ちになると、スラックスのファスナーへと指を伸ばしてそれを下げる。
下着をずらしてそっと取り出したペニスは少し勃っていて……初めて間近で見る彼のモノに一瞬動きは止まったけれど、気を取り直して唾を飲み込むと歩樹はどうにか覚悟を決め、唇を近づけてから舌を差し出し性器へ這わせた。
***
「……んっ」
喉に先端が当たったのか、小さくえづく声がする。
どんな表情をしているのかを見たくなって、髪へと指を差し込むと、ビクリと体を震わせるから胸がチクリと痛みを覚えた。
「流石に慣れてるみたいだな」
吸い上げながら舌を巧みに動かされ、すぐに爆ぜそうになってしまうが、楓はグッとそれを堪えて彼の髪の毛を後ろに引く。
いつも浮かべている柔和な笑みが取り払われた歩樹の顔は、一見すれば感情の無い人形のように見えるけれど。
(でも……違う)
「淫乱だな。舐めただけでこんなにしてんの?」
「……んっ、ふぅっ」
軽く靴先で股間を蹴ると、弾かれたように腰を引く。表情の僅かな変化も見逃さないでいられるのは、それだけいつも彼のことを意識しているからだ。
「舐めてるだけで勃つなんて、兄さんは立派な変態だな」
詰 りながらペニスを嬲 ると頬が微かに紅潮し、伏せられている長い睫毛が羞恥のせいか細かく揺れた。
「ほら、早くしないと誰か入って来るかもよ」
本当は鍵が掛かっているからその心配は無いけれど、煽るように楓が告げると口淫は更に激しくなる。
「……っ!」
「うぅ……んぅっ」
先端を搾るように蠢めく喉の動きに導かれ……思わず達しそうになるけれど、楓は奥歯をキツく噛んでなんとか快楽を逃した。
けれどもう、そう長くは持ちそうにない。
「出すから、飲めよ」
苦しいのか? 眉間に皺 を寄せている歩樹の頬を掌で固定すると、こちらを見上げる潤んだ双眸に楓の鼓動が大きくなった。
「クッ」
性欲を処理しているだけだと自分と彼に知らしめるように、無遠慮にペニスを激しく喉奥へと突き入れる。
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