80 / 119

80

「じゃあ、四つん這いになって」 「うっ……ううっ」  非情な声の命じるままに歩樹はノロノロ動きだし、少し時間はかかったけれど、どうにか言われた格好になる。 「凄い眺め。腰が揺れてんの分かってる?」 「……んっ……んぅ……」  言葉は耳に入っているが、答える余裕が今は無く……必死に疼きを逸らそうとするが、それは全くの徒労に終わった。 「散歩って言ってたけど、可哀想だから止めてやる。その代わり、ここに入れたローター、手を使わないで出せよ」 「ああっ」  アナルの淵へと指で触れられ、歩樹は身体をしならせる。 「ほら、一人で悦がってないでやれよ」 「あぅっ!」  ビシリと尻を叩かれて……大した痛みは伴わないのに体が過剰に反応し、無意識に前へ逃げを打てば背後から顎を掴まれた。 「早くしないと、気が変わるかも」  低く囁くその声に、背筋を冷たい物が伝う。 「……解った、やる……から」  なんとか声を絞り出すと、指はそのまま唇を割って口腔へと入ってきた。 「舐めろ」 「うぅっ……ふぅっ」  人差し指と親指とで、舌を掴まれて引き出され、口の端から垂れた唾液が顎へとゆっくり伝い落ちる。  口を開いたままでは腹へと力を入れるのが困難で……それをきっと分かっているのに、邪魔をしてくる楓の仕打ちに、目の奥がツンと傷んだけれど、それでも必死に舌を絡めた。 「んっ……うぅっ……」  歯が当たらぬよう注意しながら、下腹辺りに力を込め、後孔に入り込んだローターを外に出そうと試みる。 (もう……少し)  幸いにも、深い場所ではなかったから、何度かいきむと思っていたより簡単にそれは動いてくれた。 「んっ、ふぅんっ」 (あと……ちょっと) 「残念、タイムリミットだ」 「ん……んぐうぅっ」  あと少し、というところで、非情な言葉が耳へと響き、スルリと口から指が出た途端、腰をガシリと掴まれる。 「ん、あっ……ああぅっ!」  潤っていないアナルをそのまま貫かれる衝撃に、悲鳴に近い嬌声が部屋の空気を震わせた。

ともだちにシェアしよう!