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「じゃあ、四つん這いになって」
「うっ……ううっ」
非情な声の命じるままに歩樹はノロノロ動きだし、少し時間はかかったけれど、どうにか言われた格好になる。
「凄い眺め。腰が揺れてんの分かってる?」
「……んっ……んぅ……」
言葉は耳に入っているが、答える余裕が今は無く……必死に疼きを逸らそうとするが、それは全くの徒労に終わった。
「散歩って言ってたけど、可哀想だから止めてやる。その代わり、ここに入れたローター、手を使わないで出せよ」
「ああっ」
アナルの淵へと指で触れられ、歩樹は身体をしならせる。
「ほら、一人で悦がってないでやれよ」
「あぅっ!」
ビシリと尻を叩かれて……大した痛みは伴わないのに体が過剰に反応し、無意識に前へ逃げを打てば背後から顎を掴まれた。
「早くしないと、気が変わるかも」
低く囁くその声に、背筋を冷たい物が伝う。
「……解った、やる……から」
なんとか声を絞り出すと、指はそのまま唇を割って口腔へと入ってきた。
「舐めろ」
「うぅっ……ふぅっ」
人差し指と親指とで、舌を掴まれて引き出され、口の端から垂れた唾液が顎へとゆっくり伝い落ちる。
口を開いたままでは腹へと力を入れるのが困難で……それをきっと分かっているのに、邪魔をしてくる楓の仕打ちに、目の奥がツンと傷んだけれど、それでも必死に舌を絡めた。
「んっ……うぅっ……」
歯が当たらぬよう注意しながら、下腹辺りに力を込め、後孔に入り込んだローターを外に出そうと試みる。
(もう……少し)
幸いにも、深い場所ではなかったから、何度かいきむと思っていたより簡単にそれは動いてくれた。
「んっ、ふぅんっ」
(あと……ちょっと)
「残念、タイムリミットだ」
「ん……んぐうぅっ」
あと少し、というところで、非情な言葉が耳へと響き、スルリと口から指が出た途端、腰をガシリと掴まれる。
「ん、あっ……ああぅっ!」
潤っていないアナルをそのまま貫かれる衝撃に、悲鳴に近い嬌声が部屋の空気を震わせた。
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