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どうせ貴司とかいう奴に会いに行って来たのだろうと、目下で喘ぐ歩樹を見ながら楓は舌を一つ打つ。
昨日の夜から音信不通になっていたことを考えれば、一晩を共にして来たのだと思わない方がおかしいだろう。
(だから、口を噤 んでる)
簡単な話だ。自分から離れ他の男と会ううちに、落ち着きを取り戻した歩樹は、また逃げようと決意した。
病院内で事に及んだのが、彼の仕事へのプライドを……相当傷つけたのだろう。
きっとそんなところだろうが、逃げることは許さない。
「ほら、言えよ」
「あっ……あぅっ」
仕置きとばかりに乳首を爪で引っ掻いたが、実際のところ怒りはそれほど感じていない。
全く感じていないと言えば嘘になってしまうけれど、それより心を支配するのは全く別の感情で。
(分かってる。だけど……)
不自由な体勢からこちらを見ようと必死に首を動かしている歩樹を見て、胸がズキッと痛みを覚えた。
「かえ……んうっ!」
衝動のままに唇を口で塞いで舌を絡めると、苦しそうに呻く歩樹の舌を甘く吸ってやる。
「ん……ふっ、んうっ……」
そのまま……ザラザラとした舌を舐め、ペニスを緩く扱きながら、自分のモノをギリギリまで抜き一気に奥まで貫いた。
「ふぁっ……んんぅ!」
空で達してしまったのだろう。大きく揺れた歩樹のアナルがヒクヒク蠢動する感触に、つられて楓も達きそうになるがなんとかこらえて口を離す。
「兄さん、もしかして今ので達った?」
「あっ……あぁっ」
床に額を付けた歩樹が小さく呻く姿を見下ろし、意地悪な言葉を投げるが、聞こえてないのか返事は返ってこなかった。どんな顔をしているか見たいが、目隠しは外せない。
「兄さん、言って」
耳元へと、甘い声音で囁いてやれば、応えるようにアナルが何度も伸縮する。
「ほら」
力の抜けた身体を背後から抱き締めるように起こしてやり、繋がったまま胡坐をかいて歩樹を上に座らせた。いわゆる、背面座位の体勢だ。
「あっ……楓」
「なに? 兄さん」
言えと散々嬲っておいて、おかしなやり取りだと思う。だけど今の歩樹には……きっとそんなこと分かりはしない。
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