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番外編1

【番外編1】 「う゛っ……ん、んぅっ……」 「歩樹……痛い?」  耳元で低く囁く声に、頷くだけの返事をする。  口枷によって歩樹は声を奪われてしまっているから、彼の問いに答える為にはそうするしか(すべ)が無かった。 「でも、ホントは好きだよな。悦過(よす)ぎて疼くだろ? ココも……凄い事になってるし」 「んぅっ!」  無遠慮にペニスを掴まれ、四つん這いの格好を強要され続けている歩樹は背筋をピンとしならせる。  打たれ続けた臀部は腫れ、熱を帯びて痛むのに……どういう訳か勃ち上がったペニスが萎える事はなく、そればかりか彼の言う通り疼きが徐々に体の奥からわき上がった。 「こうされると、堪らないよな」 「んっ、んぐぅっ!」  尿道口へと爪を立てられ、陰嚢を揉みしだかれれば、我慢出来ずに達した歩樹は白濁をまき散らす。 「はやいな。やっぱり歩樹は痛いのが好きなんだ」 「ふ……ぐぅっ」  絶頂の余韻に震え短い息を繰り返していると、今度は臀部を抓られたから流石に前へと逃げようとするが、萎えかけたペニスを握られてその目論見(もくろみ)は阻止された。 「ん……ん゛ぅっ!」 「歩樹、俺が傷ついてるの……分かる?」  耳朶を噛んだ楓の言葉に樹はコクリと頷き返す。彼が怒っている原因は自分にあると思うから……手首を拘束されただけなのに抵抗らしい抵抗はしない。 「なら、なんであんな事言った?」 「ぐぅ……んっ!」  達したばかりのぺニスを扱かれ、たまらず歩樹は体を捩るが、逃がさないとばかりに胸の尖りをつねり上げられた。 「どうして?」  尚も問い詰める楓の声に、ゆるゆると首を横に振る。 『あれは体面(たいめん)だけの話だ』と、言い返そうにも出来ないし、そんな事は楓にもきっと既に分かっている筈だ。だからこそ、楓は歩樹の声を封じて攻め立てている。  今の彼は、正論を必要とはしていない。 「また余計なこと考えたてたろ。余裕だな」 「んっ……う゛ぅっ!」  立ち上がった楓に腹部を蹴り上げられて息が詰まる。彼から暴力を受けるのは……どれくらいぶりだろう?  想いを確認しあってから半年以上が過ぎているから、かなり久々の過酷な仕打ちに体が悲鳴をあげていた。 「歩樹、まだだ」 「ぐぅっ……んぅ!」  もう一度、今度は臀部をバシリと叩かれ、容赦の無い楓の仕打ちに目の奥がツンと痛くなる。そのまま数回殴打されたため身体を支えきれなくなり、敷かれている絨毯へと力無く崩れ落ちた。  ***  発端は、父親から紹介された女性と数回食事をした事だった。  それについては歩樹の年齢と立場上、世間体(せけんてい)もあるだろうと楓も了承してくれたし、いずれ彼にも同じような話が回ってくるだろうから、あいこだと思っていた。  全くその気は無いのだから相手には申し訳ないけれど、時期を見てきちんと断ればいいと思っていたし、実際に先日断った。  そこまでは良かったのだ。  問題はその後だった。  今日の帰り際、楓と二人で父親に呼ばれ、理事長室へと赴いた時、結婚を促す父へと歩樹が返した言葉が楓を激怒させる原因となった。

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