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 *** 「う゛ぅ……く゛ぅっ!」  後孔は……ギリギリと広がり既に悲鳴を上げている。  指一本でも引き攣るような痛みと恐怖を感じるのに、楓のモノを挿れるだなんて、とても正気の発言だとは思えない。 「もう一本、入れるよ」 「や、止め……楓っ! お願い……だから」  アナルの淵を指が這い、無理矢理中へと突き立てられて、とうとう歩樹は消え入りそうな声で楓に懇願した。 「あれ? 萎えた。本当に怖いんだ」  馬鹿にしたような楓の言葉に、情けなさがこみ上げる。  顔を背けて歯を食いしばると、フッと笑う音が聞こえ……次の瞬間、節ばった指が後孔から出ていった。 「……あ……んぅ」  続いてバイブも引き抜かれ、排泄時にも似た感覚に、思わず吐息が漏れてしまう。 「これは気持ち悦いんだ」 「……っ」  髪を梳きながら囁く楓の掌が凄く優しいから、緊張感に固まっていた体の強張りが解けていく。 「なあ歩樹……俺と一緒に考えようとは思わなかった?」 「それは……」  慈しむような優しいキスが、頬へフワリと降りてくる。  考えなかった訳じゃない。  けれど、相談すればきっと楓が重い負担を負おうとする。 ――だから……。 「楓は、俺の分まで背負うって言ってくれた。けど、俺は……」  答えはそこに見えているのに、次の言葉が出てこなかった。  自己分析では論理的だと思って疑わなかったのに、感情ばかりが先走り……口を開いたら何を言ってしまうか自分に自信がない。 「俺の前では……長男を捨てろ」 「んっ……ぅっ」  指で顎を固定され、そっと唇を塞がれた。  決して威圧的ではなく、優しさが滲む楓の行為に、安堵感を覚えた歩樹は、甘えるように舌を突き出し彼の唇をペロリと舐める。 「ったく、あんま煽るなよ」  至近距離から端正な顔に見下ろされ、心臓が音を少し速めた。  このまま……いつものようにセックスへとなだれ込み、うやむやなままにしてしまいたいと歩樹は思っていたけれど、予想通りに事は運ばず、起きあがった楓が手足の拘束具を外し始める。 「楓、そこは……いい。トイレ行って抜いてくるから」  最後に残ったブジーへと指が伸ばされ軽く触れたところで、歩樹がそれを制すると……不思議そうな顔をしてから、端正な彼の唇の端がニヤリと綺麗な弧を描いた。 「出そうなんだ」 「やめろっ……ぅっ」  トントンと先を指で叩かれ、抵抗しようとするものの……解放されたばかりの腕は、痺れて上手く動かない。

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