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二
昔からずっと光の真似をしていた。
一卵性の双子だから容姿形はよく似ていた。
でも、性格は真逆。
明るくみんなを引っ張る光と暗くていつも光の後ろをついて歩き回る僕。
両親は光が大好きだった。
明るい光。
学校の先生も友達もみんなみんな光が大好き。
僕が光みたいになろうと決心したのは、好きな子が光を好きになったから。
だから精一杯光の真似をして徐々に違和感のないように好きな子に近づいた。
でも、その子によれば、僕なんかがいくら光の真似したところで意味がないらしい。光と僕じゃ全然可愛いさも無意識にする行為も違うらしい。
それでも、僕も愛されたくて真似をしてきた。でも、やっぱり意味がないことなのだと知るはめになる。
「夢…、夢?」
「ん?あっ、いちくんだ。おはよう。どうしたの?僕に話し掛けるなんて珍しいね。」
「夢、いや、起きたら夢がいなかったから。」
あっ、ちゃんと僕だって認識出来てたんだ。僕じゃやっぱり光には遠く及ばないってことかな。
「あー、お風呂も入りたかったから帰ったんだ。昨日はありがとう。気持ちよかったよ。」
「…、ねぇ、夢。昨日の俺夢に何か悪いことしてないよね?」
「ん?何のこと?いつも通り気持ちよくしてもらったよ。」
「そう…、ならいいんだ。夢、あのさ、もうあんな事はやめようと思うんだ。」
「え?なんで?気持ち良くなかった?それとも光に誤解でもされた?」
目を逸らす。
分かりやすいなぁ。
「いいよ、じゃあね、ばいばいいちくん。」
いちくんとは体だけの関係。
いちくんの事を好きになったのは僕が彼に助けられたから。
光にじゃなくて僕に手を指し伸ばしてくれることなんて滅多にないから嬉しかった。
だから、自分でもチョロいと思うくらい小さな事で好きになった。
でも、その後すぐに光を好きになったいちくん。
少しでも近寄りたくて、見てもらいたくて、ビッチになりきっていちくんを誘った。
光に似せた顔で光に似せた声でいちくんを誘った。
最初は断られたけど、段々と光の事で落ち込んで行ったいちくんは最終的に僕とセフレになった。
まぁ、昨日みたいに光の名前連呼することなんて今までなかったんだけど。
「夢っ…、あのさっ…。」
「ん?どうしたの?いちくん。ああ、光には言っとくよ。僕といちくんは何もないーって。だから安心してよ。それと、僕ももういちくんには話し掛けないから。これでおしまい。ね?」
あれ?
どうしてそんな顔するんだろう?
あっ、そっか。
光の代わりになれる人いなくなっちゃうもんね。今、光はしゅーと君と一番仲良し。
昨日はしゅーと君とキスをする光を見て悲しかったんだね。
わかるよ、僕ももし光といちくんがキスしたら悲しいもん。
狂ったように嫉妬する。
「いちくん、ばいばい。」
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