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十九

「気を取り直して、部屋に入ろう。光、部屋どこにするか決めた?」 いつのまにか部屋割りを決め終えた光が鍵を持ってニコニコと笑っていた。 「もちろん。1番いい部屋とったよ。優斗は修斗と一緒の部屋になったけどいい?」 「それは全然大丈夫。でも、部屋は二階だよね?」 車椅子に乗る僕は補助なしでは階段を登れない。光は僕と同じくらいの体格。手伝ってもらうには難しい。 やはり僕は一階で…。 「階段登り降りする時は教えて。出来る限り手伝うから。」 「ありがとう!優斗。」 声を発する前に一ノ瀬君が僕を補助すると告げた。光は嬉しそうに一ノ瀬君に頼んでいる。 「気にしないでよ。ほらっ、さっそく二階に上がろう。」 「一ノ瀬君…。」 「夢、気にしないで。頼ってよ。俺は夢に頼られたら嬉しい。」 「ありがとう…。お願い、します。」 「うん。」 本当に嬉しそうに微笑む一ノ瀬君を見て、少し顔に熱が篭る。 ハッとしてふるふると頭を振った。 一ノ瀬君に支えてもらいながら階段を登る。光のいう、1番見晴らしのいい部屋はその名の通り、直ぐそばにある川を見ることができた。 太陽の光を反射して、キラキラと光る川はとても綺麗だ。それに、サーっと流れる音は聞いてて気持ちがいい。 嫌なこと全て忘れて、リラックスできそう…。 「夢…。気に入った?」 「うん!」 僕がそう答えると、光は満面の笑みを浮かべた。 「早く遊びに行こうっ‼︎」 「光、僕はここで光達を見てるよ。」 「えっ?なんで?」 「僕、泳げないし。それにここで見てるだけで十分。」 「あっ…じゃ、じゃあ、僕もここに残るよ。」 「いいよ、気を遣わなくても本当に僕はここにいるだけで…。」 「ううん。僕、夢のそばにいたいし。それに今回は夢の為にここに来てるんだもん。」 にっこり笑っているようで、その顔は落胆の色が見える。 光はここに来る前、何をするかウキウキと話をしていた。その中にはもちろん川で遊ぶ内容も含まれていて、鞄の中には水着が入っているのも知っている。 どうにか気を遣わせない方法はないだろうか。 「まだ着替えていなかったのか。」 思い悩んでいる時に、ドアから顔を出したのは笹舟君だった。 「あっ、修斗。僕は着替えないよ。夢がいるし。」 「…夢、ここから川は見えるが、もっと間近で見てもいいんじゃないか?椅子も用意する。下に降りないか?」 瞬時に現状を判断した笹舟君は僕に手を貸してくれた。光に遠慮させずに、遊びに行かせられるように。 「よろしくお願いします。」 「ああ。」 「光、僕は光を見ているから、遊びに行っていいよ。光が楽しそうに笑っている姿が見たいし。」 「夢…。分かった。着替えるね。」 「笹舟君、先に連れて行ってくれますか?」 「ああ。」 笹舟君に手伝ってもらい、一階に降りる。 「ありがとう。」 途中で言葉を発する。 その意味を理解してか、コクリと笹舟君は頷いた。

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