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二十九
2年後…
久々に日本の地に着いた。
あれから一度も日本に帰ってきていない。
懐かしい故郷の空気を吸い、僕は一歩前に踏み出した。
「ふぅ、何十時間のフライトは疲れる。」
「そうだね、ユメ。僕も憧れの日本の地とは言え、こんな長いフライトだともう着たくなくなるよ。」
「えっ、って、ユーリ?なんでいるの?」
聞き覚えのある声に振り返ると、そこにはクラスメイトのユーリ・ジョーンズがいた。
金髪に彫りの深い顔。ザ・外国人って顔だけど、お婆様が日本人らしくクオーターだ。
まぁ、日本人らしさなんてものはカケラもないけど。
「ふふふ、君のいるところに僕ありってね。それに、秋葉原?に行くのが夢だったんだ。日本の聖地だからね。まぁ、後はユメの忘れられない相手とやらを見定めにね。」
「何それ。」
「今日は着けてないんだね、ネックレス。」
カーッと顔が熱くなる。お揃いのネックレスは大事に鞄に入れている。それに、今日は僕を迎えに光と一緒に来るって言ってたし。
着けてたら、未練たらたら見たいじゃないか。
いや、実際そうなんだけど。
「あんまりユーリの相手できないからね、僕。」
「分かってる分かってる。観光は一人で楽しむつもりだから。」
「そう。」
「それに、今回はユメの思い人を見にきたようなもんだし。」
「ん?何か言った?」
「んーん。僕がユメを好きって話。」
「冗談はいいから早く行くよ?」
「ジョークじゃないんだけどなぁ。」
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