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三十四

次の日は1日家族と過ごした。 久々の家族団欒。 記憶を無くしてから、どうにも両親ともギスギスしていたが、時が経ってそれもなくなった。 母さんからはもう自分を隠さなくていいと言われ、父さんには喝を入れられた。男は黙って自分を主張しろだそうだ。 黙って主張なんて出来っこないけど。家族間の深い絆を感じた僕はたぶん、あの高校時代よりきっと家族を愛せるようになった。 家族との1日を終え、僕は待ち合わせ場所へと向かった。人の流れは多いけど、2人はすぐに見つかった。 だけど、どうにも2人の様子がおかしい。どこがって、距離感が。 「やぁ、ユメ。おとといぶりだね。」 「夢、家族とはゆっくり過ごせた?」 なんか、競い合ってる? 「昨日は楽しい1日だったけど、2人はどうしたの?」 「聞いてよ!ユメ。イチはとっても性格が悪いんだ。平気で僕を置いて帰ろうとしたんだよ。」 「それは、変な店に入ろうとするからだ。」 「変な店じゃないよ。日本人はみんなあそこを聖地と呼ぶんでしょ?」 「言わないよ!」 何を言い争っているのかわからない。あそこって?いちくんが帰りたくなるくらいの場所って一体…。 「ねぇ、ユーリ。昨日はどこに行ったの?」 「えっとね、アニメグッズが並んでるお店を10店くらい回ったかな。」 「えっ、ユーリ、いちくんをそんなところに連れ回したの?」 「でも、ユメ。ちゃんと休憩はとったよ?メイド喫茶とアニメ喫茶を行き来したし。」 顔が真っ青になる。いちくんをメイド喫茶で萌え萌えキュンとか言ってる女の子の元に行かせたのか。 「ゆ、ユーリ!いちくんはユーリと違ってアニメや漫画に興味ないの!変なところに連れ回さないでよ!」 「変な場所じゃないってば。そーだ。ユメも行ってみる?」 「行かないよ!」 まったく、なんてところに連れて行く気だ。 「今日は僕が行きたい観光地に行くから。ユーリは黙ってついてきて。」 「えー、どこ行くの?」 「えっと、ここら辺で有名なのは白蛇神社だね。ユーリこういうところ好きそう。」 「えー、僕興味ないよ。外国人が何でもかんでもそう言うのに興味あると思ったら大間違いだよ。」

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