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三十九
「おーい、ユメー!」
階段から降りたところ、ユーリが頬をふっくらさせて待っていた。
「待ちくたびれたよ。お饅頭食べに行くよ。」
「そうだね、行こっか。」
「あっ、そうそう。イチ。どうやら僕のおかげで結ばれたみたいだけど、そう簡単にはいかないから。イチを泣かせたら容赦しないし、そもそも僕はユメを諦めてもいない。そして、今日はユメと僕のデート。君は付き人。2人きりになんてもうさせないからね!」
ぷんすか言う割にとても嬉しそうに笑ってる。僕はやっぱり良い友人を持った。
ああ、2年前の僕。
今、僕は幸せだよ。
あの時、死ぬほど絶望して、あれ程までに苦しんだ事はない。
それでも、生きて生きて、生きたからこそ見えた幸せがあったよ。
「悲劇のお姫様にはなれなかったけど、きっと誰よりも幸せは噛みしめられそう。」
そして僕はまた歩き出した。
おわり
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