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田中フルハウス 7話

『フルハウス寮』が東雲達の住む寮だ。近くになると、キラリと光る目が2つ。 にゃー 猫の鳴き声。きっと、英雄氏が可愛がっている猫だろう。 「待っとたとかメケメケ・ニャンケローニ2世」 「は?」 英雄氏の言葉に4人は思わず耳を疑った。 なに?まさか、猫の名前? 照哉はすでに笑っており、東雲と幸太と健太は変な名前を付けられた猫を見る。 「いま、ご飯ばやるけん」 英雄氏はエコバッグから弁当を出す。 「ねえ、英雄さん猫の名前、もう一回言ってみて」 東雲は聞き間違いじゃないかと思っていた。 「はい。メケメケ.ズッケローニ2世」 「名前微妙に変わってんだろ!」 幸太が思わず突っ込む。 「メケメケ2世でも良かですよ」 「じじい、適当に変な名前つけんなよ!」 「あはは、幸太、別にいいじゃん、メケメケ2世最高じゃん」 照哉は大笑いをしている。 英雄さん…ネーミングセンスないよなあ。 東雲は心で呟く。 「餌やるですよ」 英雄氏がメケメケ2世に近づくとシャーと威嚇をする。 あれ?可愛がってんじゃないの?東雲は英雄氏に威嚇するメケメケ2世を見つめる。 「じじい、威嚇されてんじゃん!マジで可愛がってんの?」 幸太も東雲と同じ事を思ったようだ。 「みんなが居るから照れてるとですよ」  ぶはっ、 自信満々で言う英雄氏の言葉に照哉はまたも吹き出す。 「メケメケ2世食べると良かです」 弁当を下に置くとメケメケ2世が近寄り、臭いを嗅ぐが、すぐにフンッと鼻を鳴らし、離れた。 「遠慮ばしよるです。猫も遠慮するとですね」 英雄氏は去って行くメケメケ2世を見つめる。 「あははは、もうダメ!ヒデちゃん最高!」 照哉はお腹を押さえ座り込みながら笑う。 「弁当が余ったとです。勿体なかけん、ワタシが…」 弁当を手にしようとしたのを止めたのはもちろん東雲。 「照れてるのならミンナが寮に入ったら食べると思うよ」 弁当を見つめる英雄氏を無理やりに寮へと連れて帰った。 「腹が空いたとです」  玄関先で英雄氏が呟く。置いてきた弁当が名残惜しいのか?と東雲は考える。 「俺も腹減りました。店で出る弁当って量少ないし不味いですからね…」 健太がそう言うと幸太も頷く。 そして照哉も加わり東雲をじっと見る。 見つめられる事、1分。  「はいはい、夜食作ればいいんでしょ?」 東雲は先頭に立って歩き出す。 毎度のパターン。 誰かが腹が減ったと言えば東雲の出番だと勝手に義務づけられていた。 寮は各部屋にキッチンは付いているけど、東雲以外、料理が出来ない。 「たまにはコンビニで買うとか自分で作るとかさ…」 東雲の愚痴も毎度の事。 「だって、東雲の飯美味いじゃん?」 照哉のこの言葉で毎回愚痴は締めくくられる。 東雲の部屋の前に立つ。 「ここから先は照哉さんだけ…」 東雲は少し照れたように言う。 「俺だけ?」 照哉が東雲を見つめると彼は顔を赤らめる。 「東雲…」 照哉の手が東雲の頬に… 「モモ!てめえ、人の部屋で同人誌声に出して読んでんじゃねえーっ」 東雲は勢いよく部屋のドアを開けた。 「オッス!」  部屋の真ん中に座り、東雲に手を上げて挨拶をする茶髪の可愛い顔をした女性と、その横で今、声に出して読んでいた同人誌を覗き込む長い黒髪のクールビューティ。 「しかもユナさんまで…何、勝手に人の部屋でくつろいで、しかも俺と照哉さん名の同人誌を声に出して読んでるんですか!」 東雲は半場呆れたように二人を見る。 「日本ノ文化ノ勉強ダ」 ユナは真顔で答える。 そんな彼女は韓国人。 「そんな文化は学ばなくて良し!モモ、変な事教えるな!これは没収!」 モモが手にする同人誌を取り上げる。 「いいじゃん!めっちゃ売れてるんだよ、東雲と照哉さんのボーイズラブ」 「作者は自分のくせに!」 東雲は没収した同人誌をゴミ箱に投げ込む。 モモとユナの二人は店のNo.1とNo.2。 ちなみにユナがNo.1 最近店が暇過ぎて、元々好きだったBLの同人誌を始めたモモのせいで東雲は困っていた。

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